月別アーカイブ: 2015年10月

こころとからだの健康(12)生体防御機構と免疫システム 

 こころとからだの健康管理には日常的に免疫力を強化することが重要であり、それによって、QOLの向上並びに健康寿命の延伸を図ることが可能となる。
 免疫とは疫病から免れると書くが、正しくは、自己と非自己(異物)を識別し、非自己を排除することによって生体の恒常性を維持しようとする防御システムであり、自然免疫と獲得免疫から成る。一般的には、主に後者の感染症予防的な意味合いが用いられ、病原微生物などの異物が体内に侵入した時の生体防御システムとよく言われる。しかし、現代社会においては、免疫機能を低下させる要因として、各種生体内因子および生体外因子が関与し、これら要因によって体内で発生する活性酸素によるストレス(酸化ストレス)が免疫の機能、すなわち、生体の機能を低下させることが明らかとなった。免疫機能の低下は感染症、生活習慣病、がんなどのさまざまな疾患の発症と強く関係していることから、免疫強化によってこれら疾患の予防が図られる。
 ここでは、免疫の中心となる血液中の白血球細胞群を中心とした生体の防御反応(感染防御)について紹介する。以下のpdf参照。(近藤雅雄:平成27年10月21日掲載)
こころとからだの健康(12)生体防御と免疫システム

こころとからだの健康(11)ホメオスタシスと生体リズム 

 生活習慣が乱れると生体のリズムが乱れ、こころとからだに何らかの異常が生じる。逆に、こころとからだに異常が起こると生活習慣も乱れてくる。このことから、生活習慣および生体のリズムは心身の健康にとって大変重要であることが理解できる。
 さて、現代人の祖先は約500万年前にチンパンジーとの共通の祖先から分かれ、その後、独自の進化が行われてきた。この長い期間で、人類は様々な環境に適応・順化しつつからだの構成とその機能が獲得されてきた。
 生体が外部環境の変化に対応して生存を図ることを生体の適応といい、環境因子の長期にわたる変化に対して起こる生体の変化を順化という。これらのしくみは視床下部を中心とした体温、血圧、呼吸、摂食、血糖、免疫など多数の調節機能に関与するプログラムによって生体内のすべての器官が協調的生理過程を維持しながら、より安定状態を保つように進化してきた。その結果、現代の環境に適応しつつ生体の内部環境の恒常性(ホメオスタシス; homeostasis、同一の(homeo)状態(stasis)を意味するギリシア語からの造語)を維持してきた。
 ここでは、ホメオスタシスと生体リズムについての概念の確立と、その経緯を延べる。以下のpdf参照。
(近藤雅雄:平成27年10月21日掲載)
こころとからだの健康(11)ホオスタシスと生体リズム

新刊「5‐アミノレブリン酸の科学と医学応用」紹介

機能性アミノ酸「5‐アミノレブリン酸の科学と医学応用」-がんの診断・治療を中心にー
現代化学・増刊45、ポルフィリンーALA学会編、東京化学同人、2015.10.8発行、ISBN978-4-8079-1345-9 が発刊されました。
 本書は5‐アミノレブリン酸(ALA)の多様な研究に関して、最先端科学研究者48名によってまとめられた成書です。研究領域は医学、工学、理学、栄養学、農学、微生物学、環境学と幅広く、その内容はすべて人間を中心とした、がんの診断と治療および人類のQOLの向上と健康寿命の延伸並びに環境・農業・畜産業への貢献を目的としてまとめられたALA研究の最新成果が収められています。科学に興味を持つ一般学生はじめ多領域の研究者、臨床医など医療関係者にはぜひお薦めの成書です。
以下に本書の目次を示しました。
5-アミノレブリン酸の科学と医学応用表紙

第1部 生命科学と健康
1.5‐アミノレブリン酸・ポルフィリンの生命科学2.5‐アミノレブリン酸の合成および誘導体
3.5‐アミノレブリン酸・ポルフィリンの分析化学
4.ポルフィリン代謝異常症

第2部 がんの診断と治療
5.5‐アミノレブリン酸を利用したがんの診断・治療
6.脳腫瘍の診断と治療
7.皮膚がんの診断と治療
8.膀胱がんの診断と治療
9.前立腺がんの診断と治療
10.子宮頸ガンの治療
11.外科的手法による大腸がんの診断
12.内視鏡手法による大腸がんの診断
13.胃がんの診断
14.腹腔内悪性病変の診断
15.肝臓がんの診断と術中胆汁漏検索法
16.食道がんの診断
17.副甲状腺の同定診断
18.光線力学診断用機器の開発
19.脳腫瘍に対する光線力学診断用機器の開発
20.胸腔内悪性病変に対する光線力学診断用機器の開発
21.放射線療法の増感
22.超音波力学療法、温熱療法

第3章 代謝影響とヘルス・メディカルケア
23.5‐アミノレブリン酸およびヘムの代謝影響
24.ミトコンドリア病の治療と予防
25.脂質異常症の治療と予防:エネルギーおよび脂質代謝を中心として
26.赤血球造血細胞への影響
27.鉄芽球性貧血症の治療と予防
28.皮膚に対する影響
29.抗マラリヤ薬としての5-アミノレブリン酸
30.虚血再灌流系での効果
31.パーキンソン病への臨床効果

第4章 環境・農業・畜産業などへの応用
32.植物・農業分野での利用
33.畜産・水産分野での利用

 

こころとからだの健康(10)脳に良い食品、機能性食品とその成分

 脳は大脳(皮質、辺縁系、基底核)、間脳(視床、視床下部)、脳幹(中脳、橋、延髄)および小脳から構成され、心身(こころとからだの働き)の司令塔である。特に大脳皮質は感覚・運動の統合、意志、創造、思考、言語、理性、感情、記憶を司る人間としての最も重要な器官であり、その中でも前頭連合野は人間としての中枢とも言うべき、様々な重要な働きをし、哺乳動物の中では一番重たい。脳は骨格筋、肝臓に次いで基礎代謝量が高く、多くの栄養素を必要としているため、栄養の摂取バランスの異常や不足は脳の機能にダメージを与え、こころとからだに様々な影響を与える。その代表的なものとして、近年、アルツハイマー病やうつ病などの疾病が大きな問題となっている。2012年の世界保健機関の報告によると、認知症患者は毎年770万件増加し、その数は世界中で3,560万人と推定されている。これが2030年までに倍増、2050年までに3倍以上(1億人以上)になると予測されている。認知症には①アルツハイマー型、②脳血管性認知症、③レビー小体型認知症、④ピック病(前頭側頭型認知症)、⑤混合型認知症、⑥その他などがあるが、この内、70%近くがアルツハイマー病という。
 そこで、認知症やうつ病などの脳の障害を予防し、脳(こころとからだの司令塔)の働きをよくする食品および有効成分について文献調査を行い、こころとからだの健康に役立つ資料とした。
掲載した食品および機能性物質は以下の24食品、24物質であり、その詳細はpdfに掲載した。

1.脳(アンチエンジング)の活性化が期待される食品
 亜麻の種(亜麻仁油)、イチョウ葉、オリーブオイル、カワカワ、くるみ、ココア、コーヒー、魚、ザクロ、センテラ(ゴツコーラ、ブラーミ、ツボクサ)、SOD様作用食品、セイヨウオトギリソウ、セイヨウカノコソウ、ダークチョコレート、納豆、ニンニク、ビルベリー、ブルーベリー、ほうれん草、豆類、松葉、ムール貝、ヨヒンベ(ヨヒンビン)、緑茶の24食品。

2.脳に良いとされる機能性物質
 アスタキサンチン、アントシアニン、イソフラボン、カテキン、γ‐アミノ酪酸(GABA、ギャバ)、ギンコライド、グルタチオン、コエンザイムQ10、サポニン、ジメチルアミノエタノール、食物繊維(不溶性食物繊維、水溶性食物繊維)、タウリン、テアフラビン、テアニン、DHA、トリプトファン、ビフィズス菌、分岐鎖アミノ酸(BCAA)、フェルラ酸、ホスファチジルセリン、ポリフェノール、フラボノイド、メラトニン、レシチンの24物質。
 原稿は以下のpdfを参照されたい。(近藤雅雄:平成27年10月6日掲載)
こころとからだの健康(10)脳に良い食品、機能性食品

ジメチルアミノエタノール

 コリンの類縁体であり、神経化学伝達物質であるアセチルコリンの生化学的前駆体である。自然界ではイワシやアンチョビといった魚類に多く含まれている。脳に対してポジティブに作用する例とネガティブに作用する例の両方が報告されている。
 効果として、短期的には注意力や集中力の向上、気分の高揚が見られるが、長期投与の効果は不明である。摂取量が適量よりも多すぎると寿命を縮める結果になるのではないかと危惧されている。長寿を目的とした摂取には科学的根拠がなく、避けた方がよい。

センテラ(ゴツコーラ、ブラーミ、ツボクサ)

インド・南アジア・東ヨーロッパなどが原産の植物で、葉の部位が西洋ハーブとして利用される。インド医学であるアーユルベータに取り入れら、中国の「神農本草経」に記載があるという。
北米の先住民は皮膚炎の治療薬や利尿剤として使用し、東洋医学では身体的な悩みからくるうつ病などの治療に使われている。
効能としてはリラックス効果や記憶力の回復、精神状態(うつ状態、ストレス状態)の改善や鎮静効果、また、脳内の神経伝達物質を調整し、脳の働きを活性化するという。その他、去痰、風邪によるうっ血解消、産後の回復を早める、血行促進、静脈炎の腫れや痛み緩和などが知られている。動物実験では学習能力と記憶力が改善されたとの報告がある

亜麻の種(亜麻仁油)

日本ではあまり見かけないが、海外ではスーパーにて普通に売られているスーパーフード。種は小さいが100g当たり脂肪41 g、食物繊維28 g、タンパク質20 gと豊富に含まれている。
最近、亜麻の種子から得られる亜麻仁油(アマニ油)にオメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸をはじめとする不飽和脂肪酸が豊富に含まれることから、脳に良いサプリメントとして販売されている。ドイツでは慢性の便秘、緩下剤誘発性結腸障害、過敏性腸症候群、腸炎、憩室炎での使用を承認している。
効果としては学習能力や記憶力の向上、認知症予防、アレルギー症状の緩和、血流改善、エストロゲン作用、便秘解消、高血圧、動脈硬化、心血管疾患、骨粗しょう症、糖尿病、がんなどの生活習慣病予防など様々な効果があると言われているが、十分な科学的根拠はない。
安全性については、食品に含まれる量を摂取する場合は問題ないが、妊婦・授乳中の女性については十分なデータがないため摂取を避ける。

オリーブオイル

 地中海に面した地域(イタリア、スペイン、ギリシャなど)で汎用されている。ギリシャでは日常的に様々な料理に使われ、消費量は世界一である。他の食用油脂に比べて酸化されにくく固まりにくい性質を持つ。
 ポリフェノールと良質の脂肪がからだと脳のエネルギー源となるほか、関節や粘膜の炎症を抑える効果があるという。主成分であるオレイン酸は腸を刺激して排便を促す効果がある。ただし体質によっては、過剰摂取によって下痢を起こす場合もあるという。

カワカワ

 南太平洋原産の広葉植物で、ニュージーランドの先住民マオリ族はすりつぶした根を煎じて飲み、身近な薬草として生活に取り入れられている。
 成分のリグナンは健康食品であるゴマや亜麻仁などに多く含まれる成分で、エストロゲン様作用や抗酸化物質として働く植物エストロゲンの主要な分類の一つである。その他、抗うつ作用、鎮痛・鎮静作用、二日酔い防止、脂質代謝促進、抗ストレス、抗アレルギー、肝機能改善、血液浄化作用、筋肉弛緩、虚弱体質の改善、睡眠作用などが知られている。妊婦や授乳中の女性、ドライバーなどは飲まない方がよい。副作用として、まれに肝機能障害や軽い吐き気、嘔吐、食欲減退、頭痛などが知られている。

くるみ

 紀元前7000年前から人類が食用していたとも言われ、日本では縄文時代から食用していたとされる。米国カリフォルニア州と中国での生産が多く、日本では長野県東御市が生産量日本一である。脂質が実全体の70%を占め、オメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸も豊富である。また、ビタミンEなど様々なビタミンやミネラルが豊富に含まれており、栄養価が高く、脳や心臓の健康効果があるという。
 2015年、米国の大規模研究によって、くるみを消費した成人の記憶力・集中力・情報処理速度などの認知機能は年齢・性別・民族性に関係なく高いことが分かった。くるみにはポリフェノールが含まれ、脳内化学伝達物質を活性化し、認知機能を向上させる可能性が示唆されている。
 くるみを1日に一握り分食べている人の記憶力は、食べていない人と比較して19%高い。

ザクロ

 1999年から2000年頃、果汁にエストロゲンが含まれるとして閉経後のアルツハイマー型認知症に有効であるとブームとなった。しかし、国民生活センターが流通しているザクロジュースやエキス錠剤など10 銘柄について分析した結果、いずれもエストロゲンは検出されなかった。古くから薬用に供されてきたが、科学的根拠は十分ではない。

セイヨウオトギリソウ

 セント・ジョーンズ・ワートは、一般的にセイヨウオトギリソウという植物種のことを指し、黄色い花を咲かせる根茎性の多年草のハーブである。ヨーロッパに自生し、後にアメリカへも伝播され、多くの草地で野生化している。ヒペリシンを含み、モノアミンオキシダーゼ(MAO)1)を抑え、抗うつ症状の改善、鎮静作用があることからドイツでは抗うつ剤として用いられている。しかし、うつ病に対する効果は賛否様々であり、軽度から中程度のうつに対して有効で副作用が少ないとする研究や、逆にプラセボ以上の効果は見られないとする研究がある。
 ジゴキシン(強心薬)、シクロスポリン(免疫抑制薬)、テオフィリン(気管支拡張薬)、インジナビル(抗HIV薬)、ワルファリン(血液凝固防止薬)など、医薬品との相互作用などが危惧されている。さらに、ある種の薬物の量を体内で減少させる作用があり、薬効が低下することがある。副作用としては、ごくまれであるが光線過敏性皮膚炎や不安感、口渇感、めまい、消化器症状、倦怠感、頭痛、性的機能障害などが知られている。

セイヨウカノコソウ

 オミナエシ科のセイヨウカノコソウは欧州、アジアを原産とする多年草で、古代ギリシア、ローマ時代から医療用のハーブとして用いられ、米国ではサプリメントとして販売されている。
 治療上の使用法は医聖ヒポクラテスにより示され、2世紀にはガレノスが不眠症に処方したと言われている。16世紀には神経過敏、振戦、頭痛、動悸の治療に用いられ、第二次世界大戦中には英国で空襲によるストレス緩和のために用いられたと報告されている。
 臨床では神経の緊張、不眠症に対する鎮静薬、睡眠補助薬、消化管の痙攣と不快感、てんかん発作、注意欠陥多動障害(ADHA)の治療として用いられているが、有効性に関する科学的根拠は乏しい。
 仏国では、13歳女子に不安軽減や鎮静作用を期待してハーブ薬(セイヨウカノコソウ、ニガハッカ、セイヨウサンザシ、チャボトケイソウ、コラノキ含有)を1錠×3回/日、数ヶ月間摂取させたところ、肝細胞の90%以上が壊死したため、肝移植を行ったという報告がある。

ダークチョコレート

 カカオ70%以上のものを1日に3かけらを食べると脳が活性化するという。原料のカカオは「神の食べ物」という意味で、不老長寿の妙薬として珍重されてきた。気分を落ち着けるリラックス効果、集中力・記憶力を高める効果、血圧を下げ高血庄の予防・改善の効果などが報告されている。

納豆

 大豆を納豆菌で発酵させた食品である。たんぱく質はもちろんのことミネラルやビタミンが豊富に含まれ、なかでも骨を作るのに不可欠なビタミンKやナットウキナーゼ1)を含むことで注目されている。食物繊維は100グラム中に4.9~7.6グラムと豊富に含まれる。食物繊維はオリゴ糖などと共にプレバイオティクスと呼ばれ、腸内環境に有用な成分である。納豆菌はプロバイオティクスと呼ばれ、これも腸内環境に有用と考えられている。
 納豆に含まれるレシチンは記憶力や学習能力を高め、血中コレステロールの低下による脂質異常症の予防、血圧低下作用による高血圧予防。たんぱく質は脳内の神経化学伝達物質の合成を活発化する。コリンは脳の神経化学伝達物質の材料となる。ビタミンB1は中枢神経と末梢神経の機能を保つ。カルシウムは不足すると集中力が低下する。ビタミンKは脳の神経伝達を活性化する。カリウムは無気力を防ぐ。マグネシウムは高ぶった神経を鎮静化する。ジピコリン酸、リゾチームはO157病原性大腸菌、サルモネラ菌などの抗菌効果。イソフラボン、SODの抗酸化作用による生活習慣病予防のほか、健脳効果(神経伝達物質の活性化、血液循環の改善)、血栓溶解作用、骨形成促進作用、カルシウム吸収促進作用など多様な効果が知られている。
 ビタミンK2は抗凝血薬(ワルファリン)の作用を弱めることから、ワルファリンの服用中は、納豆は避けるべきである。

ニンニク

 生産量は中国が世界の8割を占めている。球根中のフラボノイドに認知症の予防があると言われるが、科学的根拠に乏しい。
 期待できる効果としては、ノルアドレナリン分泌を促進し、エネルギー代謝を活発にする。血栓形成抑制、血圧上昇抑制、コレステロールの低下、抗菌作用、抗ウイルス作用など多様な作用が報告されている。ニンニク成分の匂いのもととなるアリシンがビタミンB1(チアミン)と結合すると脂溶性のアリチアミンとなり、ビタミンB1の吸収・利用を促進し、元気にする強壮作用がある。無臭のスコルジニンには強力な酸化還元作用があり、体組織を若返らせ、新陳代謝を盛んにし、疲労回復に役立ち、強壮・強精作用を有する。また、にんにくは脳の萎縮を抑え、学習能力を高めることが動物実験で確かめられている。
 臨床的にはいくつかのがん、特に消化器系のがん(結腸がん、直腸がんなど)のリスクを減少させる可能性が示唆されている。アリシンには抗菌作用があり、O157菌等の腸管出血性大腸菌に対する殺菌力から、消化器系の感染予防に効果があることを示唆している。
 副作用としては、①強い悪臭(口臭・体臭)の原因となる。②生のニンニクの強烈な香りと辛味は、刺激が強過ぎて胃壁などを痛める場合がある。③過剰摂取は胃腸障害を起こしうる。④調理などでニンニクアレルギーとなる場合がある。⑤赤血球の溶血を促し、血尿、血便といった溶血性貧血の原因となる場合がある。

ビルベリー

 ツツジ科スノキ属の20〜40cm程の高さの低木に実が生るブルーベリーの一種で、ブルーベリー界の王様と呼ばれている。
 ビルベリーの果実はアントシアニン類などを豊富に含むため、「眼精疲労や近視によい」などと言われているが、ヒトでの有効性・安全性についての信頼できる十分なデータがない。ビルベリーの葉を経口で大量摂取すると死亡する可能性があると言われているので、葉の摂取は避ける。

ブルーベリー

 コケモモ属のベリー類の総称で、食用として日本、オーストラリア、ニュージーランドなど各地で栽培されている。果実は北アメリカでは古くから食用されてきたが、20世紀に入り果樹としての品種改良が進み多くの品種が作られ、ほとんどの品種はアメリカ産である。
 ブルーベリーやビルベリーを使用した健康食品やサプリメントが「目の網膜に良い」と視力改善効果を謳い、広く市販されている。しかし、(独)国立健康・栄養研究所の論文調査や海外での研究ではブルーベリーやビルベリーおよびそれらに含まれるアントシアニンによる視力改善効果は認められておらず、目に良いとして宣伝される科学的根拠はない。また、血管を丈夫にする、糖尿病・脳卒中に有効とされるが、ヒトでの有効性・安全性については信頼できるデータが見当たらない。妊娠中・授乳中の安全性については十分な情報がないため、食事以外での過剰摂取は避けた方がよい。

ほうれん草

 マグネシウムが豊富で、体内の血流を促進し、脳にも十分な血液が届く。また、ビタミンA、葉酸、ルテイン、鉄分を多く含み貧血予防に繋がる。しかし、シュウ酸が多く含まれているため、多量に摂取し続けるとカルシウムの吸収が阻害され、また、体内ではカルシウムと結合してシュウ酸カルシウム結石を作り腎臓や尿路障害の原因となることがある。

豆類

 「豆」とは、一般的に植物分類学上のマメ科に属する穀物を指す。世界のマメ科植物はおよそ 650属、18,000種にも及ぶが、食用として重要なものは70~80種程度と言われている。
 豆類は、炭水化物、たんぱく質、ビタミン(B1、B2、B6など)、ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など)、食物繊維、ポリフェノール、サポニンを豊富に含み、脳機能に欠かせない栄養素を多く含む。
 豆類に含まれている栄養成分の割合により、次の2グループに大別される。

1.炭水化物主体グループ
 あずき、ささげ、いんげんまめ、花豆、えんどう、そらまめ、ひよこまめ、レンズ豆などで、乾燥豆重量の50%以上が炭水化物、タンパク質が約20%、脂質が約2%であり、健康維持やダイエットに最適な低脂肪・高たんぱく食品と言える。

2.脂質主体グループ
 大豆および落花生で、大豆には乾燥豆重量の約20%が脂質、たんぱく質が30%以上、炭水化物は約30%。落花生は、脂質の含有率が約50%と極めて高く、たんぱく質も25%あり、大豆とほぼ似た構成となっている。

 豆類は食物繊維が多く、あずきおよびいんげんまめにはごぼうの約2倍、さつまいもの約3倍もの食物繊維が含まれ、その他の豆類もごぼうを凌いでおり、豆類は食品の中でも際だって食物繊維の多い食品である。ポリフェノールのイソフラボン類がエストロゲン様の働きをし、閉経後のアルツハイマー型認知症予防に有効とあるが、科学的根拠に乏しい

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